一生にたった1度だけ。こんな恋は、もう2度とない。だから全部持って行く…例え彼に裏切りだと言われても。
「待ってるからね、景吾。」
「バーカ。当然だろ?。」
「待ってるのって結構大変なんだよ。」
景吾が私の進路に対して何も言わなかったように、私も景吾の進みたい道を邪魔する気はなかったし。本気で『待つ』事しか考えてなかったのに。勝手な自己満足程度の約束は、ただ自分を苦しめるものだなんて、この時は、誰もそんな事を考えてなかったんだ。
「、これも試着させてもらったら?」
「え、でも…私はこれが…。」
氷帝学園の短大を卒業して、社会人2年目の私は。上司と父親の共同戦略にハマって取引先の御曹司と言われる人と婚約した。
「景吾、結婚式だね。」
「だが、あの花嫁はいただけねぇな。」
「どうして?奇麗じゃない、ドレスも似合ってるし。」
「肌、見せすぎ。トレーンとヴェールは短い。ティアラが貧弱。」
大会の帰り道、偶然通りかかった山手の教会から出て来たカップルに。
『お前はそんなカッコするな。』と言わんばかりの指摘をする。
「でも、ティアラってレンタルだから仕方ないじゃない?」
「大体なぁ、ティアラは代々家に受け継がれてるんだ。」
「それってヨーロッパ限定じゃない。」
だから『指輪は贈らねぇが、ティアラをやるんだよ』と言い切った景吾と、いつかその隣に立つ女性に憧れた。その女性が私だったらいいのにと、ささやかに願いながら、でも誰にも知られないように。
「さま、クラシカルなドレスもお似合いですが、1度お召しになられては?」
「いえ…本当に、これが。」
「そういえば、俺が贈った『婚約指輪』は?」
「あの、ちょっとアレルギーあって…。」
それも、ウソじゃないけど…『赤い糸の伝説』は景吾にって、思っている。本当に好きなのは、本当に身も心も焦がす『恋』は景吾とでないと出来ないってそんな事、百も承知で、でも、どうしても私の気持ちが揺らいでしまった結果。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
イギリスへ留学した景吾と、生活リズムの変化をこなすのに精一杯だった私。最初の頃こそ、メールや電話で連絡を取り合っていたけど、毎日が、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回…だんだん疎遠になって。いつの間にか、目の前の事だけが精一杯になってしまっていた。
「で、婚約なんかしちゃったんだよね…。」
「アレ?ちゃん、どうしたん?こんなとこで。」
「ん?忍足…くん?!うわっ…。」
考え事をしてたら、どこからか記憶が飛んで、氷帝の最寄り駅から学校へ向かって歩いていた。考え事は、学校で、ってよくしたもんなぁ。
「あれ、本気なんか?跡部はどうすんねん。」
「何か音信不通で、そのまま自然消滅?」
『自分らの事に、疑問形使うなや』と言いつつ、式には出るからと。
忍足くんは、あまり納得していないまま、私を駅まで送ってくれた。
そんな仲間がいるから、また揺らいでしまう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
だから…きちんと景吾に伝えよう、と家に戻って机に向き合う。
=====親愛なる 跡部景吾さま
元気にしていますか?もうすぐ、卒業だよね。帰国の日程があえば…結婚式に出席して下さい。
私、結婚する事にしました。
『待ってる』とか言いながら、足元から揺れちゃって。
親に薦められて、の仕組まれた出会いだけど。幸せになれるように、 努力をするから。だから、景吾も、送り出して下さい。
もっと、景吾と連絡を取って、景吾をそばに感じられていれば 違ったのかもしれないけれど。 今更こんなことを言っても信じてもらえないと思うけど、 私が『恋』した人は…今までもこれからも『跡部景吾』だけ。 愛した人は…あなただけだって事。覚えておいて。
初めて『好き』って言った日の事も『好き』って言ってくれた事も 景吾のキレイな…ブルーグレーの瞳に見つめられて、守られていた事、 その手が、とても優しかった事も、暖かかった事、力強かった事。 壊れないように包んでくれた事、全部『鍵』かけて、持って行くから。
景吾、貴方に『』って呼んでもらえた事、とても嬉しかったの。
『景吾』って呼んでもいいって言ってくれた事も。
だから、幸せになって下さい。
=====
アイツは何考えてやがる…こんな手紙1つで納得できる訳ない。初めてよこした手紙が、涙に滲んでいるなら、なおさら…
「やっとお帰りか?跡部。」
「ぅるせぇ。」
「そんな事より、どうすんだよ。」
帰国すると連絡を入れておいた忍足と、相変わらずつるんでいるのか向日までもが空港まで来ていた。
「大丈夫だ、なんとかする。」
「何とかなんねーだろ?」
「ちゃん、ホンマにええんか?」
「ねぇ、景吾。忍足くんたちに信用されてない?」
「跡部が、浮気してもいいのかってこと。」
「がっくんってば…私が心変わりする事なないの?」
氷帝を後にする日、アイツらに茶化されて、飲み込んだ一言を。
伝えずに渡った先で何度も後悔した。
「とにかくに渡すもんがあんだよ。」
「何やねん、そんなん今更受け取ってもらわれへんって。」
『3年経って、俺が卒業したらこっちに来いよ』と、言ってやればよかったのか?きっとそんな気休めな言葉が欲しかったんじゃない。には、言葉と同じくらい必要なものがあるんだからな。
ーでございます。
「氷帝学園高等部でお世話になった跡部と申しますが。」
ーはい…。
「さんはご在宅でしょうか?」
ーお待ち下さい。
久しぶりに聴こうとしている声を前に、こんなに緊張するとはな。
取り継がれるまでのフォンの1~2分で心拍数が上がる。
ーもしもし…
「…か。」
ーうん、景…跡部くん。久しぶりだね。
「結婚するんだな…」
ーうん…あの…。
「わりぃな、帰国できそうもねぇんだ。」
が謝る必要はないと、思っていた。だが、電話の向こうで混じりの声が『ごめん』と繰り返す…。
「は、気付いてねぇんだよ。お前らの所為でな。」
「何でやねん。お前が悪いんやろ!」
「とにかく急ごうぜ。」
あの日、お前が偶然受け取ったブーケを覚えているのか?
初めて手を取って帰った大会の後。会場が、あの教会だと聞いた時に運命を感じたんだと、俺だけが思ったのか?
「跡部、何やっとんねん。もう、始まっとんで。」
「先に行け。」
荷物の中から、あの手紙を書いているを思って用意したものと俺の気持ちを手にする。きっとあの扉へ手をかけた時に、溢れ出す想いを。
「基本的にトレーンとヴェールは長く。」
「どうして?」
「ま、家柄の格ってヤツだな。」
「肌を見せないってさぁ。」
「長袖で、首元まで詰まった形がベストだ。」
あまり納得がいかない返事だった。
だが、それが正統派だと知っているからこそ…
「………あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命の限り、堅く節操を守ることを誓約しますか。」
「はい、誓約します。」
「……あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命の限り、堅く節操を守ることを誓約しますか。」
「………私は…。」
アイツらしいな…迷ってやがるとは。
なら、お前を連れ去ってやるよ、望んでたんだろ?。
「よぉ、。トレーンが短い、肌は見せるな。前に言っただろ?」
「跡部、お前…。」
遅れた所為で、1番後ろの席に着いた忍足と向日が唖然としてやがる。そらそうだろうな。俺の手元を見りゃ開いた口も塞がらねぇ…だろうな。
「ごめんなさい、誓約…出来ません。」
「、悪かったな。」
「景吾…。」
祭壇の前で振り返ったの考えていた事は、全部理解できた。俺が言った事を、きちんと受け止めていてくれていた、ってな。
「お前が着るのは、これだろ?」
「景吾…やっぱり、景吾じゃなきゃダメだよ…。」
「あぁ、待たせて悪かったな。」
お前を自由に飛ばせてやるから…ずっと傍にいろ。
…お前でないとダメなのは、俺の方だから、な。
これが、私に課せられた越えなきゃいけない壁なら、あの時のように乗り越えるから。 だからその向こうで待っていて。
「慌ただしかったけど、疲れてない?。」
「大丈夫。」
「は肌が奇麗だから、このドレスにしてよかったよ。」
「そう…かな?」
景吾と結婚するなら、クラッシックのドレスだけど。彼は景吾じゃない。だから、景吾との約束は成立しないんだ。きっと景吾なら…。
「ちゃん。」
「。」
「忍足くん、がっくんも!」
「キレイにして貰てんなぁ…。」
「、ホントにいいのかよ。跡部じゃなくても、俺が連れて逃げてやるよ!」
がっくんの真剣な瞳が、景吾の目と重なる。いつも、そんな瞳で捕まえてくれていたなぁって。それなのに、みんなと笑っている時は焼きもちなんて焼かなかったし、束縛されてるって感じなかった。
「、俺の知らない所で、男友達に会うのは辞めてくれないか?」
「どういう事?」
「今日、駅まで送ってもらっていただろう?親し気に話していた。」
「あ…高校時代の部活の友達なの。」
「でも、いいね。」
「うん…出来る限りそうする。」
あの時、私は1人で歩いてたら危ない感じだったけど。それなら、隠れ見てないで一緒にいればいいのに…そこまで嫌がらないのに。
「ほな、後で。」
「みんな来てるから、な。」
控え室から出て行く2人を見送って、ほっと一息つく。
それでも、景吾は来てくれないんだって、こんなに助けて欲しいのに。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「、行こうか。」
「うん。ね、お父さん…何があっても驚かないでくれる?」
「こんな日に、何が起こるって言うんだい?」
「解らないけど。」
「幸せにしてもらいなさい。」
チャペルの大きくて重い扉の向こうに伸びるヴァージンロード。
『ティアラは要らない』って言った。景吾が絶対用意してくれるから。
彼に近付く、一歩一歩で気持ちを固める。
「…奇麗だ…。」
「ありがと。」
彼の言葉に『ごめんなさい』と心の中で繰り返す。短いトレーンは、そこを立ち去る時に1人で動けるように。でも、ヴェールだけは…私の家の格、どれだけ愛されて育ててもらったかの証。
「………あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命の限り、堅く節操を守ることを誓約しますか。」
「はい、誓約します。」
「……あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命の限り、堅く節操を守ることを誓約しますか。」
「………私は…。」
音もなく、でも扉が開かれた気配を背中に感じて振り返る。
そう、影がすーっと伸びた気がしたから。
「よぉ、。トレーンが短い、肌は見せるな。前に言っただろ?」
「け、い…ご。」
見間違うわけない、それが3年会っていなくても。大好きな『俺さま』なんだもん。その手にある、真っ白なドレスと、小さな箱が、それを証明しているから。
「ごめんなさい、誓約…出来ません。」
「、悪かったな。」
両手を広げて待っていてくれる景吾に向かって駆け出す。
『やっぱりトレーンが短くて正解じゃない』って、飛び込んだ腕の中で呟く。
「君は…。」
「『跡部景吾』だよ。景吾はきっと嫌がるけど『あの跡部財閥の御曹司』。」
「そして…は俺のもんだ。」
『強引だけど、やっぱり景吾じゃないとね。』と、見上げるとヴェールを外される。その仕草1つで、何が言いたいのか解るのは『赤い糸が繋がってる』って感じてしまう所だったりする。
「もう、何があっても離れないからね。」
「そうかよ、。なら、俺が離さないでおくとするか。おい、行くぜ。」
ずっと一緒に戦ってきた…支えてくれていたナイトたちを指揮する帝王の腕に抱かれて後にする教会がすごい騒ぎになっていても、私たちの味方は、一緒にそこを立つ仲間たちだから。
もう、絶対私の決意は揺るがない…そう、景吾を愛し続けるから。
誰もが欲しがる『権威』を要らないと言ったお前に、やれるものは。 要らないと言った『それ』しかない事に、笑わずにいられない。
「あー、もう動けない。」
「お疲れさん。」
「、両親からは…」
「なんとかね、許してもらったってか。」
『跡部さんと付き合っているんなら、なぜ言わなかった?!』って怒鳴られた。そうは言う、そんな時は口角だけで笑っちまう。
「景吾、着替えてくる。」
「?!」
「こんなの、私じゃない。」
「は?」
ぶちこわした結婚式、チャペルを出ると同時にが言った言葉は。
その場にいた氷帝レギュラーも言葉を失うほどの威力があった。
「アイツとの結婚式に着てたドレス、どうした?」
「あれ?アレねぇ、オークションで売った。」
「ふ、ははは。お前らしいな。」
「私のドレスは、景吾が持ってるもの。」
しばらくホテル住まいをしてから、またイギリスに戻る。そう話しても、は驚かなかった。ましてや毎日、邪魔者が部屋にやってくる。
「宍戸、ありがと。使い走りさせてごめんね。」
「いいって。それより、いつ向こうへ行くんだ?」
「週末、だ。」
「じゃ、式は向こうで…か?」
大して驚いた様子もなく宍戸はに頼まれていたんだろう紙袋を渡す。その中のものが、俺のためのものだと知るのは、まだ少し先の事。
「、お前…」
「景吾ってば『美味しすぎ』。」
「んだと?」
ウエストを抱き寄せて歩くと、は嬉しそうに俺を見上げる。この腕の中にがいる、それだけの事なのに安心していると、が口を開く。
「景吾…知ってる?」
「あぁ?」
「手をつないで歩いたのも、肩を抱いてもらったのも景吾が初めてなんだよ。」
と向かうイギリスの空は、1人で渡る空の色よりも鮮やかで。全てが俺にとっても、初めて見る景色に等しい。
「ねえ、景吾。私まだ見せてもらっていないものがあるの。」
「あぁ?何のことだ、?」
「ティアラ、見せて欲しい。」
渡した宝石箱の中には、真珠をメインにした宝冠が収まっている。日本人に1番似合う宝石は何を言っても、真珠だからな。
「忙しくなるぜ?俺さまのパートナーとして、社交界でも目立ってもらうからな。」
「真珠…日本の宝石だもんね。ありがとう、景吾。」
「ちょっとは解ってるみたいだな。」
が隣にいる、ただそれだけで俺はゆっくり眠れる。今まで離れていても平気だと、何を持って思っていたのかと不思議になる。
「、何も約束できないが、俺と来ないか?」
「何があっても離れないからって言ったでしょ。」
「そうだったな。」
卒業したばかりで、何の地位も持たず『跡部財閥の御曹司』とは名ばかりで。を必ず幸せにするからと、言うだけの財産さえ持っていない。
「でもね、お願いがあるの。」
「何だ?」
「景吾は自由でいて。」
『跡部を継ぐにしても、テニスで世界を歩いても』俺は俺だと、は言う。好きなことをしろ、ただそれだけでいいからと。
「お前には叶わないな。」
「ん?何?何の事?」
「独り言だ。」
何も持たない俺に、全身全霊で飛び込んで来た。お前の勇気と想いの深さに、俺は…救われたんだ。
だから、俺がいつもそばにいてやる…。それをお前は『優しい』と言ってくれるんだろうな。
なぁ、覚えてるか? あの日、俺が届けた言葉を… ねえ、覚えてる? あの時、開かれた一筋の希望を…
「うー…緊張する。」
「何が?いい加減、慣れろ。」
「ムリ!景吾とは違うもん!!」
「大丈夫だ、俺が一緒にいる。」
小さく頷くの手は、ほんの少し強く繋いだ俺の手を握りしめる。
その手があるから、俺が強くなれる事、お前は知らないだろう?
「景吾は、どうして来てくれたの?」
「お前の頭にティアラが乗ってねぇって確信してたから、な。」
「それはそれは…」
「棒読みか?あぁ?」
男の子はたくさん知ってるし、男友達もたくさんいたし、今でもいるけど。『男の人』は貴方だけだったのよ、景吾。知らないでしょう?でも、まだ言わない…。本当に言うべき時は景吾のためにドレスを着る日。
「まさか、がこの生活に順応するとはな。」
「あれ?言ってなかったっけ?私、中学の前半までドイツ在住。」
「マジかよ、それ。」
『跡部』の事業のほんの一部を、引き継いだ拠点がイギリスなのに。
はここでの生活に順応しているどころが、秘書業務までこなせそうな勢いだ。
「それより。あのね、これ…日本を出る時に持って来たんだけど。」
「フォトフレーム…か?」
「うん。」
「どこに置いたらいい?」
宍戸が見つけ出して来てくれたフレームは8個の窓があるシンプルなもの。もう、決まってるの。どんな写真を入れて行くのか。
「来てやったぜ、忍足よぉ。」
「おめでと、忍足くん。」
「おおきに。でも跡部…相変わらずやな。」
が、忍足と忍足の彼女をカメラに収めている。ま、普通、よくある事だと思っていた。
「それ、アレに入れんのか?…じゃなかった。」
「いいよ、で。その方が自然なんでしょ?宍戸。」
「まぁな、でも跡部に睨まれんのだけはゴメンだぜ。」
「、行くぞ。」
「え…うん。」
重い扉が開かれる。その向こうには、景吾が助け出してくれた時よりも長い長いヴァージンロード。誰もいないと思っていた列席者の席には…。
「本当に?」
「俺の両親と、忍足たちが説き伏せてくれた。」
「景吾…ありがとう。」
の望みは、訊かなくても解っている。だから、に内緒で事を進めたんだ。
「To have and to hold, from this day forward, for better, for worse, For richer, for poorer,in sickness and in health,To love and to cherish, untill death do us part.」
「Of course, I do.」
『結婚指輪は要らない』と言ったから、景吾は式の前にそっと赤い糸を
括り付けてくれた。『俺ものもだからな』って言って。
「、幸せにしてやる。」
「違うよ、一緒に幸せになるの。」
「そうだった、な。」
ヴェールを上げ、額にそっと唇を寄せる。滑り落ちるの涙が、ティアラに飾られたパールにリンクする。
「景吾、覚えてる?」
「ん?何をだ?。」
「恋も、手をつないで歩いたのも、肩を抱いてもらったのも。」
「俺が初めて、だっけか?あぁ?」
そう、額に触れるKissも、そしてこれから繰り返して行く…昼も夜も、夏も冬も景吾と過ごす、生活の全てが。
「お前を自由に飛ばせてやるから…ずっと傍にいろ。」
「景吾は自由でいて。」
が置いたフォトフレームには、同じ日に入籍した8組のカップルが。
ひときわ輝く笑顔を讃えたの姿を真ん中に。小さな祈りをこめて。
Only my Love to...my Special...For ever...
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あとがき…… >>
私の誕生日記念として描いて下さった、跡部夢です。ご好意に甘えてリクさせていただいた内容をこんなにも素敵に綴ってくださり当時は大感激の私でした。聖雅さまのサイトでは、誕生日当日が最終話になるよう毎日Upしてくださったのですが、跡部さんの格好良さときたら♡ヒロインの絶妙な距離感も心地良くて大好きです! 言葉では表現出来ないこの喜びをレイアウトに託します。 素敵過ぎる跡部未来夢、本当に有難うございました。 私の宝物として、一生大切にさせていただきます!
こちらでは1ページに纏めたレイアウトにしていますが、当時は、聖雅さまの後書きつきでアップしてくださいましたので、下記に纏め掲載させていただきます♡
後書き
-1- ~閉ざした想い~
『結婚式』シリーズ(?)リクエストは夢野菜月さまからです。
全5話ってどうなんでしょう…まとめる力がないって発覚しました。
これからの俺さまの展開にご期待下さいませ。
今回のリクエストは『菜月さまのお誕生日記念』でもあります。
こんなプレゼントしか差し上げられませんが、素敵な1年をお過ごし下さいませ。
Happy Birthday!!
2006/09/12-16 春日聖雅
後書き
-2- ~溢れる想い~
『結婚式』シリーズ(?)2話目は俺さま視点で。
今回のお話は、俺さま視点のみでも、ヒロイン視点のみでも
読んで頂けるようにしてあるのですが、いかがでしょうか?
次は…どうなるのかサプライズは続きます。
最後まで、お付き合い下さいませ。
2006/09/12-16 春日聖雅
後書き
-3- ~揺るがない決意~
『結婚式』シリーズ(?)リクエストは夢野菜月さまからです。
やっぱり、このヒロインさんも強い…(^^;
なぜだか、『俺さま』にお話のヒロインさんって、意志が強いんですよね。
だから、守られてるんじゃなくて、自分で動いちゃうと言うか…。
そんなヒロインさんを嫌いにならないで下さいね。
2006/09/12-16 春日聖雅
後書き
-4- ~優しい決意~
『結婚式』シリーズ(?)リクエストは夢野菜月さまからです。
『政略結婚』って言うなら、間違いなく(既に見捨てられた『彼』より)
俺さまだと、そう思うのは、私だけでしょうか?『跡部』の名前だけで
日本のトップって感じなんですが。気のせいじゃないって祈ります。
残すところ、あと1話。やっぱり最後は…
最後まで、お楽しみ下さいませ。
2006/09/12-16 春日聖雅
後書き
-5- ~2人の祈り~
『結婚式』シリーズ(?)リクエストは夢野菜月さまからです。
諸事情で別れてしまった景吾たちカップル。
ヒロインの結婚式に俺さまが乗り込んで奪い去っちゃう…
そんなリクエストをいただきました。
すごくイメージが膨らんで、書きやすくて…一気に書いてしまいました。
長きに渡ってのお付き合い、ありがとうございました。
それから…。菜月さま、これからも仲良くしてやって下さいませね。
2006/09/12-16 春日聖雅様 (閉鎖なさいました)